「壁の中」から

むかしblogtribeにあったやつのアーカイブ

2005-01-01から1年間の記事一覧

廃墟探索記二篇

9月と10月に立て続けに廃墟探索を敢行したのだけれど、フリマもあって記事にするのを放置していたのをアップしました。写真が多くてブログにアップするのは面倒なので、幻視社のサイトの方にアップしています。リンク先に本文があるので、そこから行けます。…

メフィスト賞の人とか

あんまり更新しないのもあれなので、ちょっとまえに読んだ本の感想を並べてみます。否定的なもんばっかりですが。●森博嗣「すべてがFになる」すべてがFになる (講談社文庫)作者: 森博嗣出版社/メーカー: 講談社発売日: 1998/12/11メディア: 文庫購入: 16人 …

第四回文学フリマ参加報告

今回はデジカメを忘れた私にかわって、エンドケイプさん撮影の写真を使わせて貰っています。注意! 今回の「幻視社 第一号」において印刷ミスで乱丁が発生しています。 「魔法少女テロルちゃん」におきまして、1、2ページが3、4ページの次に来てしまって…

第四回文学フリマ

今年の第四回文学フリマに、幻視社として参加します。 フリマ公式サイト注意! 今回印刷ミスで乱丁が発生しています。 「魔法少女テロルちゃん」におきまして、1、2ページが3、4ページの次に来てしまっています。 35ページからの上記作品においては3…

“少女”の合目的的利用法 ―Gunslinger Girl批判―

(この記事についての批判とそれに応えた補足記事があります。 再度「Gunslinger Girl」について・1)GUNSLINGER GIRL 5 (電撃コミックス)作者: 相田裕出版社/メーカー: KADOKAWA(アスキー・メディアワ)発売日: 2005/05/27メディア: コミック購入: 2人 クリ…

「文学に意味はないというお前に意味はない。オレが文学だ。オレこそが「批評」だ。純文学作家笙野頼子」

徹底抗戦!文士の森作者: 笙野頼子出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2005/06/21メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 31回この商品を含むブログ (43件) を見る●私的言語の戦闘的保持十四年にわたる「純文学論争」にまつわる経緯をまとめ、その間に書かれ…

笙野頼子の絶対的自己肯定

金毘羅作者: 笙野頼子出版社/メーカー: 集英社発売日: 2004/10メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 20回この商品を含むブログ (76件) を見る「水晶内制度」が出たと思ったら、ほぼ一年後に出たいまのところの最新長篇。長篇をこの短いスパンで出すというの…

笙野頼子の変則名調子

前回の投稿について、やはり「ヒステリー」という言葉を使うのは辞めた方がいいとは思うのだが、女性の言論をヒステリーとして抑圧する状況に抗して用いられる戦略として、「ヒステリー」という言葉を使っているのだということくらいは読みとって貰えるだろ…

笙野頼子の「ヒステリー」としての文体

水晶内制度作者: 笙野頼子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2003/07メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 24回この商品を含むブログ (55件) を見る笙野頼子にそれが欠けているということが最大の美点になっているものは“上品さ”だと思う。笙野頼子は、その仕…

笙野頼子の神なき世界

S倉迷妄通信作者: 笙野頼子出版社/メーカー: 集英社発売日: 2002/09/05メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (10件) を見るこれは前作「森娘」以上に難物だった。読み終えてみても、飲み込めた、という気がしない。「森娘」に比べれば、文章…

笙野頼子のドライブする文体

笙野頼子「幽界森娘異聞」幽界森娘異聞作者: 笙野頼子出版社/メーカー: 講談社発売日: 2001/07メディア: 単行本 クリック: 10回この商品を含むブログ (26件) を見るこの本はずいぶん前に買っていたのだが、肝心の森茉莉をほとんど読んでいなかった時期だった…

最近読んだ本 森茉莉、カート・ヴォネガット

甘い蜜の部屋 (ちくま文庫)作者: 森茉莉出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1996/12/01メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 29回この商品を含むブログ (63件) を見る●森茉莉「甘い蜜の部屋」「贅沢貧乏」「恋人たちの森」しか読んでいないので、長篇を。 てっ…

最近読んだ本 SFマガジン、石川淳

●SFマガジン 2005年4月号 通巻588号 クリストファー・プリーストの短篇、飛浩隆の長篇序章、イーガンのノヴェラ(中篇)、他にもウルフ、ウィリス、神林長平、と今年度「ベストSF」上位作家の作品集。このラインナップに、普段買わないSFマガジンをつい買っ…

廃村と甲府2

で、ここで入ったファミレスが、ものすごい雰囲気だった。店はガストで、ただのチェーンファミレスなのだが―田舎、というと失礼なので地方都市と呼んでおくが―地方都市の人間環境がどういうものか如実に見た思いだった。店は普通、しかし、休日の夜と言うこ…

廃村と甲府1

ブログらしく、旅行記でも。先日、長野まで旅行に行った。旅行、というよりも「腐った田舎」が大好きだ、という馬(このブログのどっかにコメントつけてる)の発案になる行き先不定のカードライブであって、どこに行くわけでもなく、いつ帰るかも決っていな…

バラードの二十世紀のアメリカ

●「22世紀のコロンブス」22世紀のコロンブス (1982年) (World SF)作者: J.G.バラード,南山宏出版社/メーカー: 集英社発売日: 1982/07メディア: ?この商品を含むブログ (1件) を見る バラードの本のうち、何冊かはかなりレアな代物で、古書店で万単位の値が付…

バラードの結晶の時間

バラードの短篇でいえば、「ヴァーミリオン・サンズ」はむしろ傍流にカテゴライズされるかも知れない。彼の短篇は、SFを換骨奪胎したアンチSFとしてのSFや、宇宙という新次元においての人間精神の不気味さを描くものや、時間や鉱物を主題にした幻想小説など…

「ヴァーミリオン・サンズ」散策記

昨日の補遺。(システムのバージョンアップの結果、一万文字以内(全角文字なら五千字計算)という一エントリの字数制限がついたため分割)●「ヴァーミリオン・サンズ」でプログレヴァーミリオン・サンズまたはVermilion Sandsで検索すると面白いものが出て…

バラードの砂の夢景色

前回書いた「熱帯」と重なるが、バラードが特権的に用いる題材の一つに倦怠のリゾートがあり、時間が止まってしまったかのような砂と太陽の土地を執拗に描くのが初期バラードの特徴でもある。そういった「バラード・ランド」的イメージと「病理社会の心理学…

バラードの「闇の奥」

●「スーパー・カンヌ」続き 「スーパー・カンヌ」は装幀がなかなか良い。絵の色合いやデザイン、文字の置き方も気に入っている。「コカイン・ナイト」のカバーは結構アレだったけれど、これはいい。ただ、カバー紙を外した中身の表紙のオップ・アート未来チ…

バラードの南仏の退屈

スーパー・カンヌ作者: J.G.バラード,J.G. Ballard,小山太一出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2002/11/01メディア: 単行本 クリック: 45回この商品を含むブログ (16件) を見るプリースト「魔法」で南仏を旅行しているのを読んでいて、ふと思い出したのでJ・G…

プリースト補足、買った本

アクセス数がいきなり倍になった日があったので何かと思ったら、2ちゃんねるから直リンク。http://ime.st/inthewall.blogtribe.org/というようなアドレスから人が来ている。これは元のリンクがどこかわからなくするもののようで、これだけだと元をたどれない…

The grammar of the priest's glamour

魔法 (ハヤカワ文庫FT)作者: クリストファープリースト,Christopher Priest,古沢嘉通出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2005/01/01メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 63回この商品を含むブログ (88件) を見る前読んだのはいつか忘れたが再読。これはやっぱ…

牧野信一の“ギリシャ”への旅

父を売る子・心象風景 (講談社文芸文庫)作者: 牧野信一出版社/メーカー: 講談社発売日: 1993/06メディア: 文庫 クリック: 4回この商品を含むブログ (1件) を見る●牧野信一の本 いま、牧野信一を読もうとすれば選択肢は限られてくる。上掲の文芸文庫のものは…

牧野信一「西部劇通信」

西部劇通信 牧野信一 (都の友に贈った手紙) この写真を御覧―― 一見すると、まさにアメリカ・インデアンの屯所と見られるだろうが、好く好く見ると僕をはじめいろいろ君の知っている顔であることに気づくだろう。僕等は此処にこんな小屋がけをしておいて、…

牧野信一のユートピア便り

前回書いた宇野浩二が、ほぼ独力で全集を編集したほど入れ込んでいた小説家が、牧野信一だ(他に、嘉村礒多の全集も宇野はほぼひとりで編集を行ったという)。そのエピソードが示す通り、宇野と牧野の関係には単なる友好関係を越えた文学的影響・相似関係が…

宇野浩二の部屋の設計図

日本幻想文学集成 (27)作者: 宇野浩二,堀切直人出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 1994/09/01メディア: 単行本この商品を含むブログを見るbk1に「日本幻想文学集成27 宇野浩二 夢見る部屋」の書評を投稿した。で、今回は宇野浩二について思ったことを書く…

スタージョン、ウェルズ

●シオドア・スタージョン「夢みる宝石」ハヤカワSF文庫夢みる宝石 (ハヤカワ文庫 SF 365)作者: シオドア・スタージョン,永井淳出版社/メーカー: 早川書房発売日: 1979/10/31メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (11件) を見るスター…

イアン・ワトスン――冗談のような話

●「エンベディング」エンベディング (未来の文学)作者:イアン・ワトスン発売日: 2004/10/26メディア: 単行本ルーセル本で触れたイアン・ワトスン「エンベディング」については、bk1に書評を投稿してみた。SlowBirdさん、中村びわさんと私だけが書評をつけて…

新海誠「雲のむこう、約束の場所」を見た

雲のむこう、約束の場所 [DVD]出版社/メーカー: コミックス・ウェーブ・フィルム発売日: 2005/02/17メディア: DVD クリック: 125回この商品を含むブログ (463件) を見るほぼ個人で「ほしのこえ」という短篇アニメを作り、一挙に知名度上がった新海誠の長篇劇…