「壁の中」から

むかしblogtribeにあったやつのアーカイブ

このブログについて

http://inthewall.blogtribe.org/ 以前まで上記のURLで更新していたこのブログですが、blogtribeサービス終了に伴い消滅していたので、バックアップから復帰させました。画像、書籍へのリンクやサイト内リンクについては修正したつもりですが、サイト外リン…

別ブログ開設

このブログが更新できないあいだに、はてなでIDとって別ブログを開設してみました。Close to the Wallとりあえずここを「本家」として、むこうでは聴いた音楽関係と雑記とこっちで一つの記事にするには短い本の感想とかを投稿してみたりしています。はてな、…

四冊の「日本語の歴史」

●山口仲美「日本語の歴史」岩波新書 日本語の歴史 (岩波新書)作者: 山口仲美出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2006/05/19メディア: 新書購入: 1人 クリック: 22回この商品を含むブログ (60件) を見る前回の「日本書紀の謎を解く」を読んで、上代日本語とか…

古代史・記紀成立論の二冊

●森博達「日本書紀の謎を解く」中公新書 日本書紀の謎を解く―述作者は誰か (中公新書)作者: 森博達出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 1999/10/01メディア: 新書購入: 4人 クリック: 15回この商品を含むブログ (25件) を見るここ半年ほどのあいだに読んだ…

近現代史と中世史についての二冊

また間が空いてしまいました。三ヶ月ぶり。感想を書きたい本が溜まってしまっているのに加えて笙野頼子関連も「成田参拝」や「現代思想」などいくつも新しいものが出ていてそっちも溜まってしまっています。以下に紹介する本なんて、十月には読んでいた本だ…

2006年 もっとも聴いたCD5枚

本のベストを知りたい人はブログをさかのぼってもらうことにして、ちょっと音楽関連のことを書こうと思う。2006年とか言いながら、今年の新作は一枚だけだけれど。最後の方は文字数制限のせいで駆け足だけれど、IonaについてはボックスセットがHMVから届いた…

佐伯ツカサ寄稿、切通理作著「サンタ服を着た女の子」刊行記念パーティ

サンタ服を着た女の子―ときめきクリスマス論作者: 切通理作出版社/メーカー: 白水社発売日: 2006/12メディア: 単行本 クリック: 21回この商品を含むブログ (4件) を見る新宿ロフトプラスワンで切通理作さんの『サンタ服を着た女の子〜ときめきクリスマス論』…

笙野頼子「だいにっほん、ろんちくおげれつ記」群像2006年8月号

群像 2006年 08月号 [雑誌]出版社/メーカー: 講談社発売日: 2006/07/07メディア: 雑誌この商品を含むブログ (3件) を見る群像1月号に発表された「だいにっほん、おんたこめいわく史」の七ヶ月ぶりの続篇。だいたい三百枚弱。前作の狂騒的な文体とはうってか…

「迷宮礼賛 ボルヘス没後二十周年記念 アルゼンチン文化の夕べ」

主催::ボルヘス会文学フリマでThornさんに誘われたボルヘス会主催のボルヘスイベントに行ってきました(七日前に)。Thornさんのレポートがすでに書かれているので、そちらも参照。まあ、熱心な読者とはいえない私めがそんな立派なボルヘスイベントに参加す…

第五回文学フリマ参加の記

先日11月12日に行われた文学フリマに参加してきました。無事本も間に合い、大過なく終了しました。当日お越しいただいた方、ありがとうございました。 売れないので午後には二百円に値下げをした。初期価格で買った人には申し訳ない。 写真右端のところ、人…

第五回文学フリマ

数ヶ月ぶりの更新になります。お久しぶりです。どうでもいいことですが、この記事で当ブロブ通算百記事目です。フリマ公式サイトでブース一覧が発表されたり、栗山光司さんのブログに紹介されたりした(栗山さんありがとう)ので、ご存じの方はいるかも知れ…

明治の宗教政策――安丸良夫「神々の明治維新―神仏分離と廃仏毀釈」

●安丸良夫「神々の明治維新―神仏分離と廃仏毀釈」岩波新書神々の明治維新―神仏分離と廃仏毀釈 (岩波新書 黄版 103)作者: 安丸良夫出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1979/11/20メディア: 新書購入: 9人 クリック: 56回この商品を含むブログ (37件) を見る義…

日本の中世についての三冊

最近読んだ本がちょうどよく日本の中世について、宗教、政治、法それぞれの角度から見たものだったので、まとめて紹介。●佐藤弘夫「神国日本」ちくま新書神国日本 (ちくま新書)作者: 佐藤弘夫出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2006/04メディア: 新書購入: 2…

パソコンが壊れたりして更新が滞りすぎていた間に読んだ本とか。

ところで、笙野頼子の「徹底抗戦! 文士の森」の記事に、小谷野敦様からのコメントをいただき、少々訂正しました。ブログの方でも私の記事にリンクしておられるので、当人に間違いないようです。http://d.hatena.ne.jp/junjun1965/20050710小谷野様による笙…

死に過剰な意味を与えようとする「死の哲学」の批判のために――小泉義之「病いの哲学」

病いの哲学 (ちくま新書)作者: 小泉義之出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2006/04メディア: 新書購入: 5人 クリック: 43回この商品を含むブログ (51件) を見る●病いの哲学「病いの哲学」といわれてもぴんとこないと思う。なので、著者が「病いの哲学」に対…

女たちの楽園――J・G・バラード「楽園への疾走」

楽園への疾走 (海外文学セレクション)作者: J・G・バラード,増田まもる出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2006/04/22メディア: 単行本 クリック: 10回この商品を含むブログ (18件) を見るバラードはたまに集大成というか自己模倣というか、それまで扱って…

「普通」の男とは誰か――笙野頼子「絶叫師タコグルメと百人の「普通」の男」・2

絶叫師タコグルメと百人の「普通」の男作者: 笙野頼子出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2006/04/21メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 28回この商品を含むブログ (34件) を見る私は知っている。最悪のこばと会よりも凶悪なもの、それはごく普通の善良…

移民の歌ヨーデル風電気ノコギリ演奏――笙野頼子「説教師カニバットと百人の危ない美女」

説教師カニバットと百人の危ない美女作者: 笙野頼子出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 1999/01メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 8回この商品を含むブログ (19件) を見るタコグルメ記事を書くときに読み返したのだけれど、ちょっと気になったのでカニ…

「私」不在の無責任共同体――笙野頼子「絶叫師タコグルメと百人の「普通」の男」

絶叫師タコグルメと百人の「普通」の男作者: 笙野頼子出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2006/04/21メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 28回この商品を含むブログ (34件) を見る一言でいえば、これは、「だいにっほん、おんたこめいわく史」の前哨戦だ…

「私」の反体制――笙野頼子「羽田発小樽着、苦の内の自由」

すばる 2006年 04月号出版社/メーカー: 集英社発売日: 2006/03/06メディア: 雑誌この商品を含むブログ (1件) を見る木村カナさんが用意してくれた掲示板のあるツリーで予告しておいてからずいぶん時間がたってしまったけれど、すばる2006年4月号掲載、笙野頼…

国家による宗教の利用法・あるいは自我の発生史――義江彰夫「神仏習合」

神仏習合 (岩波新書)作者: 義江彰夫出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1996/07/22メディア: 新書購入: 6人 クリック: 68回この商品を含むブログ (30件) を見る笙野頼子の「金毘羅文学論序説」や近作「羽田発小樽着 苦の内の自由」でも参照されているので読ん…

生きることが肯定される条件・1――立岩真也「ALS 不動の身体と息する機械」

ALS 不動の身体と息する機械作者: 立岩真也出版社/メーカー: 医学書院発売日: 2004/11/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 12回この商品を含むブログ (23件) を見るまえにちょっと触れた、ALS=筋萎縮性側索硬化症(Amytrophic Lateral Sclerosis)をあ…

生きることが肯定される条件・2――立岩真也「ALS 不動の身体と息する機械」

●生に誰が価値を付けるのか患者の死への傾きを促す要素として、QOLがもちいられることもあるという。詳しくは立岩氏のこの文章を読んでほしい。「大切で危ないQOL」(上掲ブログ経由)。勝手にまとめると、医療から提供されるサービスに対して、患者の側…

暴力から見た「国家」――萱野稔人「国家とはなにか」

『国家とはなにか』作者: 萱野稔人出版社/メーカー: 以文社発売日: 2005/06/17メディア: 単行本購入: 12人 クリック: 142回この商品を含むブログ (118件) を見る国家とはなにか、を原理的に分析するきわめて理論的な本。だけれど、よく整理されていてとても…

等価交換原理の効用

私の先日の記事についてkawakitaさんから返事がありました。いくつか疑問があったのでコメント欄で質問し、その回答をいただいたのですが、その返事をすると長くなりすぎてしまうので、返答を以下に述べようと思います。以下の記事はhttp://d.hatena.ne.jp/k…

内田樹の言説の批判的検討・2

前回の続きです。 ●贈与をどう考えるかさて、「贈与」ですが、この語については、内田氏および荒井さん、kawakitaさんそれぞれでどうも定義がかなり違っているようなので、ややこしいことになっているようです。そもそも、kawakitaさんは贈与を「対価が得ら…

内田樹の言説の批判的検討・1

先日の内田氏への批判について、kawakitaさんからトラックバックをいただきましたので、以下の記事に応答することにします。直接批判するわけではなくて、どうも「誤読によって仮想的を批判している」内田批判派のひとり、という以上には言及されてはいませ…

「死ぬということは偉大なことなので」 ――杉作「与那国」

大学からの友人であり幻視社同人でもある杉作氏の自主制作ドキュメンタリー映画「与那国」が、来る三月十八日、渋谷のイベント会場において上映されるそうです。(3/11表記等修正)「ねりけしクッキング」より ずいぶん前から撮っていると言うことを聞いてい…

働かない者は人間ではない(?)――内田樹「不快という貨幣」

この記事は前回の続きでもあるので是非そちらを参照してください。●俗流若者論の構図さて、本田由紀・内藤朝雄・後藤和智「「ニート」って言うな!」で本田氏は、世に氾濫するニート悪玉論の多くが、事実を無視した青少年へのネガティヴキャンペーンでしかな…

いま、大人たちが危ない!――本田由紀・内藤朝雄・後藤和智「「ニート」って言うな!」

「ニート」って言うな! (光文社新書)作者: 本田由紀,内藤朝雄,後藤和智出版社/メーカー: 光文社発売日: 2006/01/17メディア: 新書購入: 17人 クリック: 420回この商品を含むブログ (286件) を見る一般に「ニート」という言葉でイメージされる人間像とはどん…