第五回文学フリマ参加の記
先日11月12日に行われた文学フリマに参加してきました。無事本も間に合い、大過なく終了しました。当日お越しいただいた方、ありがとうございました。
売れないので午後には二百円に値下げをした。初期価格で買った人には申し訳ない。
写真右端のところ、人の影になっている向こうに、芥川賞作家そのほかのサークルが来ていた。開場すると長蛇の列ができていて、中央分離帯のようなものを形成していた。
左下がファック文芸部さん。この小ささなら大丈夫かなとは思ったけれど、一応顔が写っている部分はぼかして掲載。
当日は午後になってからいくつかのブースを回り、オンラインで読んでいるブログの書き手の人たちなどに声をかけてみたり、Thornさんに声をかけて頂いたり、OFF会ってのはこんなものかなと思った一日でした。
雑誌はまあ、あまり売れませんねえ。最初に参加したときから部数が全然増えていない、ということは、一度読んだ人がもう一回買いには来ない、ということか。やっぱり四百円は高いのか。買っていった人は半分くらいがエンドケイプさんの知り合いの方だったような気がします。ケプさん万歳。
あと、ブースの隣に突っ立っていたら、報道シールを貼った人に取材されました。民青新聞の記者の方でした。なんでしょう、去年は佐伯さんがしんぶん赤旗に取材されてたけれど、今年は民青。去年は結局載らなかったみたいですし、今年も載らないんじゃないかと。あ、「どうして小説を書きたいと思ったんですか」という質問には、当然「小説を読んだからです」と答えておきました。自分でも言いながら吹き出しそうになってしまいましたが、そうなのだからしょうがない。
当日までわりと忙しかったので、どんなサークルが参加するのかについて全然チェックしていなくて、当日カタログを見て驚く、というのがしばしば。
で、買った本。
ファック文芸部「g:neo 特集二十一世紀のファック文学」
どうかと思うサークル名と特集だけれど、雑誌の後ろにある座談会を見る限り、編集長であるdimeteaさんの趣味のよう。これが関西のセンスということか。雑誌はまだ読んでいません。
藤枝静男を良く読んでいるdimeteaさんのブログを前から読んでいたので、参加することを知っていたのだけれど、それがなんと通路を挾んで正面という恐ろしい偶然。後藤明生も読んでいるらしく、とりあえず挨拶に行ったら「壁の中」を読んだ、と。酔狂ですねえ。私は三回は通読しました。バカじゃなかろうか。
そんなことはおいといて、驚くべきはそのどうかと思うサークル名の雑誌の売れっぷり。私の右の方では某芥川賞作家たちのサークルが長蛇の列を作っていたけれど(ちなみに、前回は開場とともに入ってきた客はほぼ全員が桜コンビサークルのある二階に突っ込んでいったのだけれど、今回はそこまでではなかった。文学フリマにおける芥川賞作家のポジションというものを考えさせられる)、目の前のファック文芸部も、列はできないまでもしきりに客が訪れていて、ぐいぐい売れていく。我らがサークルが時間いっぱいかけて売った冊数の六倍近い数を数時間残した段階で売り切ったファック文芸部、羨ましすぎる。私は全然知らない人たちなんだけど、有名な人なんでしょうか。
エディションプヒプヒ((゜(○○)゜) プヒプヒ日記 垂野創一郎さん)の、「スタニスワフ・レム 発狂した仕立屋 その他の抜粋」と、「エーゴン・フリーデル タイムマシンの旅」。
レムの未訳がぎっしりの「発狂した仕立屋」、これは買わねばならんでしょう。到底翻訳されそうにない「技術大全」や「偶然の哲学」といった著作からの抜粋に、インタビューなど。
フリーデルという人は知らなかったけれど、タイムマシンの続篇、と聞いて買ってみた。タイムマシンの公式の続篇としてはバクスターの「タイム・シップ」なんてものもあるけれど、これはどんなもんか。
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この、渡邊さんの掌篇がすばらしい。私が買ったのは「山猫とヴァイオリン」が印刷されたものだったけれど、他にも買っておくべきだったと思った。洒脱と形容したくなる愛らしい一篇で、印象的な比喩を駆使した長回しの文体がさすが。渡邊さんについてはブログから受けた印象と書いているものの印象がわりと齟齬なく一致した。
後いろいろ。しかし、私はフリマに来るたびに「私小説研究」を買ってしまう。隣にある法政文芸部とかの同人誌をこそ買うべきだった気がしている。真面目に文芸同人をやっている厚めの同人誌とかは、それなりに面白いのかも知れないけれど、読む時間がなさそうで結局買わないんだよなあ。
終了後、近くのチェーン系居酒屋で打ち上げ。鬼海さんが帰ってしまったけれど、彼の友人スティーヴ、エンドケイプさんの彼女などが参加し、意外な話で盛り上がる。去年と同じ店に入ったら、去年と同じ席に案内されたのにびっくり。あと、中国系の店員の人が、ほんとうに「アイヤー」と言っていたのには悪いとは思ったけどつい吹き出してしまった。言うんだ。まあ、言うんだろうけど。