「壁の中」から

むかしblogtribeにあったやつのアーカイブ

レーモン・ルーセルと愉快な奇書

長々と書いてきましたが、ルーセル祭はこれで終わり。「アフリカの印象」や「額の星・無数の太陽」を読み返そうとも思ったのですが、それはまたいつかに回すことにして、一応了とします。
で、これまで引用してきた本やルーセルにいくらかの関連がある本を一覧して見ようと思います。直接、間接に関係していて、なおかつ私が持っているものに限られているので、その点はご容赦。

●レーモン・ルーセル参考・関連文献

ルーセル本たち

ルーセルの作品
☆レーモン・ルーセル「アフリカの印象」岡谷公二訳・白水社

アフリカの印象

アフリカの印象

白水社の復刊シリーズの一冊。企画、装幀は良いのだけれど、本自体が非常にもろい。値段も国書刊行会のハードカバー並。もともとの版はこれ
私はこのなかではシモン「ファルサロスの戦い」も持っているのだけれど、冒頭の一ページ以上は読み進めていない。
☆レーモン・ルーセルロクス・ソルス岡谷公二訳・平凡社ライブラリー
ロクス・ソルス (平凡社ライブラリー)

ロクス・ソルス (平凡社ライブラリー)

ペヨトル工房から出ていたものの再刊。プレミア化していたペヨトル版が欲しかったところにまさかの刊行におどろく。ペヨトル版はミルキィ・イソベ装幀なので、一度見てみたいが。
解説の青柳いずみこ氏の、音楽の側面から見た文章も面白い。

☆レーモン・ルーセル「額の星・無数の太陽」國分俊宏・新島進訳・人文書院

額の星・無数の太陽

額の星・無数の太陽

戯曲二つを収録。巻末に事典形式の註があり、充実した内容。装幀もすごく良い。値段も張るが。

岡谷公二編「澁澤龍彦文学館 9 独身者の箱」筑摩書房

独身者の箱 (渋沢龍彦文学館)

独身者の箱 (渋沢龍彦文学館)

澁澤龍彦の愛好した作品をセレクトしたらしい、選書シリーズの一冊。死後刊行の追悼企画みたいなものか。この本には下記のアンリ・ルソーの家に居候していたこともあるジャリの「超男性」がまるごと入っている。白水Uブックスで出ているのが簡単に手に入るいまでは、もっと他のを入れて欲しかったとは思う。「爪はじき」「綱渡りの恋」の二短篇及び、「ロクス・ソルス」の二章、四章を抄録。

☆「シュルレアリスムの詩 シュルレアリスム読本1」思潮社
http://www.amazon.co.jp/dp/B000J7Y05U
三巻になるシュルレアリスム読本シリーズの一冊。相当数のシュルレアリスム系詩人の詩が、数ページ単位でずらっと並んでいる。原文を併記したら良かったのにと思うが要求しすぎか。


ルーセル
☆ミシェル・レリス「レーモン・ルーセル 無垢な人」岡谷公二訳・ペヨトル工房

レーモン・ルーセル―無垢な人

レーモン・ルーセル―無垢な人

ルーセルの数少ない親しい友人レリスによるルーセル論の集成。
短文ばかりだが、基礎資料。さらに重要なことには、これにはルーセルの「私はいかにしてある種の本を書いたか」が(短篇を含んだ本全体ではない)訳載されている。重要な部分は岡谷公二氏の文章などにだいたい引用されてしまっているが、「アフリカの印象」の着想の元ネタを延々羅列している部分は人によっては、重要か。

岡谷公二「レーモン・ルーセルの謎」国書刊行会

日本でのルーセル紹介の第一人者岡谷公二氏によるルーセル論集成。
小伝、近年の遺稿新発見についての報告、レリスとの比較、ヴェルヌとの比較、ユイスマンスとの比較、アンリ・ルソーとの比較、彼の死んだシチリア島パレルモでの状況をいくつかの未訳文献とからめて紹介するもの、演劇との関係などなど、多岐に渡る。基礎資料その2。
また、「ロクス・ソルス」に採用されなかったふたつの挿話のうちのひとつ「アディノルファの新たな発見」を訳載。未完だが良いです。

☆フランソワ・カラデック「レーモン・ルーセルの生涯」北山研二訳・リブロポート

レーモン・ルーセルの生涯

レーモン・ルーセルの生涯

ルーセル評伝の決定版。
奇行や伝説に満ちたルーセルの行動、言動を膨大な資料を用いて丹念に跡づけていく。伝説を誇張したり、無批判に受け入れるのではなく、やや皮肉な調子で記述をしている。奇人の一大ペイジェントを見ようと思って紐解くと、やや期待はずれになるだろう。そういうセンセーショナルなルーセル像を批判するのがカラデックの目標だろうし、それでもやはり相当に奇人ではある。
私がこれを読んで思ったのは、ああ、ルーセルは子供好きのするひとだったのだな、ということ。
基礎資料その3。

☆「夜想27 特集レーモン・ルーセルペヨトル工房

夜想 (27)

夜想 (27)

ペヨトル工房の出していたカルトな雑誌「夜想」のルーセル号。
すばらしく充実している特集号。どの文章も興味深く読めた。というかユリイカなどのやこういう雑誌の特集号に載っている文章を全部通読したのはこの号くらいのもの。中身は、ルーセル未完の長篇の草稿や、レリス、フーコー、カラデックの短いインタビュー記事、東野芳明寺山修司の対談、北山研二、谷昌親、彦坂裕、岡谷公二塚原史酒詰治男らのルーセル論、ジャン・フェリーの「新アフリカの印象」のメカニズムの解説など。ルーセルがさまざまな文脈(ヴェルヌ等の科学小説、建築、美術、演劇、ウリポ、ヌーヴォーロマン)にかかわり、からんでいることがわかり大変面白い。ペレックの紹介を兼ねた酒詰治男氏の文章を読んで、とりあえず「人生 使用法」を買ってはみた。
また、巻末資料の充実度がすさまじい。仏語文献を大量に紹介していて、私には宝の持ち腐れだが。また、北山研二氏らは大学の紀要などによくルーセル論を書いているらしいことがわかった。しかし、それをどうやって読むのかがわからない。
さらに、かなりの図版や写真が掲載されていて、資料的価値も高い。
基礎資料その4。

この雑誌は確か13号くらいでシュルレアリスム特集をしていたりして、その筋の人にはたまらない雑誌だったのだろう。私はこれとシュルレアリスム号しか持っていないが。丹生谷貴志がよく書いている雑誌という印象。

ミシェル・フーコー「レーモン・ルーセル豊崎光一訳・法政大学出版局

フーコーのあまり言及されることのない著書。私が読んだフーコーはこれだけ。
「言葉と物」とかとはちがって、対象が確定している文芸評論ならまだ読めるかな、と思ったが、難解。面白いし興味深い知見も鏤められていて読み応えのある本だけれど、内容を要約したり紹介できるほど理解はできていない。上のに比べると相当厄介だが、読む価値は充分以上にある。

アラン・ロブ=グリエ「新しい小説のために 付スナップショット」平岡篤頼訳・新潮社

新しい小説のために (1967年)

新しい小説のために (1967年)

ヌーヴォーロマンのアジテーター、ロブ=グリエによる評論集と短篇集の合本。ルーセル論「レーモン・ルーセルにおける謎と透明性」収録。
ロブ=グリエの小説はほとんど読んでいない。彼がルーセルに影響を受けていると聞いて、短篇「秘密の部屋」を読んだことがあるくらいだ。その「秘密の部屋」だけれど、ほとんど描写のみによって成立しているその文章の雰囲気は、確かにルーセルらしいところがある。ただ「秘密の部屋」の作中では、一体何が起こってるのかよくわからない。時間を前後させているらしい(フラッシュバックのように)描写では、読者自身がその内容を組み上げねばならないのだろうけれど、その気にはならない。
「レーモン・ルーセルにおける謎と透明性」から

レーモン・ルーセルは描写する。そして彼の描写するもののかなたには、なにものもない。伝統的に《主張》メッサージュと呼びうるようなものはなにもない。アカデミックな文芸批評が愛好する表現のひとつを借りれば、ルーセルは《いうべきなにものかをもつ》とは、ほとんど思えない。一見したときから、彼の宇宙を構成することが明らかな、物体や動作や事件にたいして、いかなる超越、いかなるヒューマニズム的超出をも適用することはできないのである。
90P
そのあとで、「あまりにも透明な意味は、まったくの不透明性と同じ結果になる」とも述べられているロブ=グリエの指摘は、私が前から書いていることと、同じような事態を指していると思われる。読んでいて、自分がルーセルに感じる不気味さをうまく説明してもらった気分になった。文自体は短い。描写と、彼の小説が謎解きに終始していることに触れている。

ジャン・コクトー「阿片 ある解毒治療の日記」堀口大学訳・角川文庫

阿片―或る解毒治療の日記 (角川文庫)

阿片―或る解毒治療の日記 (角川文庫)

コクトーのこの本にはルーセルにまつわる記述が十ページほど含まれている。コクトールーセルの天才を賞賛する不思議な組み合わせ。1930年に書かれた本で、この堀口大学訳は戦後すぐのもののよう。ルーセルが翻訳されたのは70年代。それまではまぼろしの作家だったのだろうか。

☆「ユリイカ 特集*シュルレアリスムの彼方へ デュシャンとルッセル」青土社
デュシャンルーセルという、シュルレアリスムから外れた人をあわせて特集してみた、というところか。デュシャン論とルーセル論がごっちゃに並んでいるという印象。それほどいい論文はない、かな。あまり印象にない。ここにも寺山修司が書いている。これに載っている「玉突き男ルッセル」は、講談社文芸文庫の寺山のエッセイ集「私という謎」の表題エッセイとたぶん同じ物。

塚原史「ダダ・シュルレアリスムの時代」ちくま学芸文庫

ダダ・シュルレアリスムの時代 (ちくま学芸文庫)

ダダ・シュルレアリスムの時代 (ちくま学芸文庫)

本屋でめくってみたら、ルーセル論が一本載っていた。買おうと思ったが金がない時だったので、買っていない。
何回かまえに私がここでルーセルの短篇を詳しく紹介したが、それをもうちょっと突っ込んで分析した小論が収録されている。「黒人たちの間で」という、「アフリカの印象」の直接の祖先である短篇を分析していた。

web
いとうせいこう「55note」
ソシュールという構造主義の祖。
 デュシャンという現代芸術の魔王。
 ルーセルという孤高で無垢な文学者。
 彼らアナグラムにかかわる天才たちはなぜ人生の一時期を沈黙して暮らし、またその時必ずチェスをしていたのか」

という覚書。私はルーセルのところしか読んでいないが、かなり面白い文章だ。無関係に思える三人の仕事を、チェスを通じて絡み合わせるという、アクロバティックだが説得力もある論考。ソシュールアナグラムに凝っていた、というのは丸山圭三郎講談社現代新書から出ている本で読んだことがある。その部分もかなり面白かった覚えがある。

「ルーセルの箱」
「GREENBOX」というデュシャンの本をサイト名にもつ、記号にかんする研究を掲載しているサイトの一コーナー。現代思想記号論に詳しくないので、ついていけない感じがするので読んではいない。あと、サイトの管理者の名前がわからない。メールアドレスはあるけれど。


ルーセルの敬愛したもの

ジュール・ヴェルヌ
ルーセルが最大限の賛辞を捧げる空想科学小説家。
地底旅行」朝比奈弘治訳・岩波文庫

地底旅行 (岩波文庫)

地底旅行 (岩波文庫)

ヴェルヌの代表作。古書から出て来た暗号文を解読すると、或る山から地球の中心に行ったという学者のメッセージだった。そこでリーデンブロック教授は甥のアクセルをつれて、アイスランドの火口から地底探検に乗り出す、という話。
楽天的な冒険小説で、付き添いのアイスランド現地人の扱いがひどいとか以外は普通に面白く読んだ本。ヴェルヌはいままで全く読んでいなかったので、ちょくちょく読もう。冒頭の方で、甥よりも甥の恋人である女性の方が冒険に前向きで、渋るアクセルの背中を叩くように激励する場面はおかしみがあっていい。

 私はまたこの覚書の中で、ジュール・ヴェルヌというはかり知れない天才の持ち主に敬意を捧げておきたい。
 彼に対する私の賛嘆の念は限りがない。
 『地底旅行』、『気球での五週間』、『海底二万哩』、『地球から月へ』、『月世界旅行』、『不思議な島』、『エクトル・セルヴァダック』の或るページにおいて、彼は、人間の言葉が達しうる絶頂をきわめた。

[レリス・134P]

地底旅行」は岩波以外に創元SF文庫などで入手可能。「気球での五週間」は、いまはほとんどが品切れの集英社文庫でのジュール・ヴェルヌ・コレクションで「気球に乗って五週間」というタイトルで出ていたのが一番最近の物。「海底二万里」も集英社文庫、創元SF文庫、偕成社文庫などなど、多種。「不思議な島」は偕成社文庫で完訳が出ているほか、集英社文庫でも「ミステリアス・アイランド」として出ていた。
以上のことは日本語でのヴェルヌサイトとして最も充実していると思われる、
Jules Verne Page
を参照した。そこを調べてわかったのは、「地球から月へ」と「月世界旅行」というのは月旅行をめぐる二部作で、前者はこの直訳タイトル「地球から月へ」で、邦題は「月世界旅行」として以前ちくま文庫から出ていたもの。後者の「月世界旅行」は直訳して「月を廻って」となる作品で、「月世界旅行」「月世界探検」とかのタイトルで出ていた模様(いま入手できるのは創元SF文庫)。こんがらがってくるが、リンクしたページを見ていると、両者を抄訳して一冊にしている翻訳がある様子。いまは「地球から月へ」はどこからも出ていない模様。
また、「エクトル・セルヴァダック」は日本では一度も完訳されていない。1964年に抄訳が偕成社から出たのみ。ルーセルが挙げているということもあるが、「月世界三部作以外では宇宙を舞台にした唯一の作品であり、ヴェルヌの全作品中おそらく最も奇想天外な作品」ということなので、読んでみたいと思ったのだけれど。

岡谷公二「ピエル・ロティの館 エグゾティスムという病い」作品社

ルーセルの紹介者岡谷公二氏がロティについて書いた本。是非読みたいが、高いうえ、ロティはほとんど読んだことがないので手を出しかねている。

カミーユ・フラマリオン
フラマリオンの家を訪れたルーセルはそこでもらったクッキーを持ち帰り、専用の入れ物を作らせそのなかに大事に保存していたという。
フラマリオンが書いた小説は日本語では読める物がないようだ。ただ、上で紹介したジュール・ヴェルヌのサイトにはカミーユ・フラマリオンについてしっかりした紹介があるので、乞うご参照。
フランスの作家:同時代
また、リンク先にはフラマリオンの短篇小説を明治期に徳富蘆花が翻訳したものが掲載されている。徳富蘆花といえば明治のベストセラー「不如帰」だけれど、フラマリオンを翻訳していたとは。世界の終末を描いた短篇。

☆エミール・ガボリオ
以下に詳細な紹介がある。
「エミール・ガボリオ」
ミステリ・推理小説データベースというサイトの一ページ。このサイトの情報量は、驚くべきものがある。初読者のための案内にもなっているし、訳書情報など、相当のマニアにも有用だろう。

ポーは推理小説創始者だが、ガボリオは世界ではじめてそれを長篇で試みた小説家ということになるらしい。ルーセル推理小説を好んでいた(小説を読めば一目瞭然か)ようで、「セーヌ」という韻文劇にポーの「モルグ街の殺人」が引用されてもいる。そしてガボリオも好んで読んでいたらしい。
で、私もガボリオを読んでみようかと思って探してみたら、邦訳は軒並み絶版状態で読めるものがない。名前はよく聞くので、クラシックとしてどこかが出しているだろうと思ったけれど、ミステリだからといっても何でも出ているわけではないようだ。
と、そう思っていたら、藤原編集室のサイトで、ガボリオの「ルルージュ事件」が国書から出るらしいと知る。これが、世界初の長篇推理小説らしい。


●ポスト・ルーセル
ジョルジュ・ペレック「人生 使用法」酒詰治男水声社

人生 使用法

人生 使用法

潜在的文学工房、ウリポの代表的作家ペレックによる長篇。といっても私はまだこれを読んではいないので、何も言うことはないのだけれど、これがルーセル〈手法〉プロセデを引き継いだ独特の規則によって書かれている小説であるらしいということで。解説を拾い読みすると、相当やっかいなことをやっているのが感じられる。ペレックは他には「フランス語で最も使用頻度の高い」eを一文字も使わない長篇や、逆に母音字にeしか使わない小説、また五千語超の回文を書くとかいう仕事をやってのけたとのこと。ウリポはレーモン・クノーがフランソワ・ル・リヨネら数人の友人と1960年に創設した文学サークルとのこと。初期メンバーは皆知らない人だけれど、賛同会員にはカルヴィーノデュシャンがいる。

アラン・ロブ=グリエ「覗くひと」望月芳郎訳・講談社文芸文庫

覗くひと (講談社文芸文庫)

覗くひと (講談社文芸文庫)

で、上にも挙げたヌーヴォー・ロマンアジテーター(この形容は妥当なのか?)ロブ=グリエルーセルの「眺め」に想を得て書いたらしい長篇がこれ。面白いのだろうか。ルーセルとは関係ないが、いまはなきサンリオSF文庫から「世界Aの報告書」という長篇が出ていた。これ、イギリスニューウェーブSFの代表的作家ブライアン・W・オールディス(あとはバラードとムアコックか?)の実験的な作品で、平行世界というSF的アイデアヌーヴォー・ロマン(具体的にはロブ=グリエの手法)を使って書いたもの、と解説されている。ある家の窓から向かいにあるレストランだか喫茶店だかをずうっと観察・描写しているのだけれど、その書き方が細かすぎて何がなんだかわからないというやっかいきわまりない小説だった。何年も前に読んだので中身をよく覚えてないのだけれど、ヌーヴォー・ロマン的な、日常を異化する手法で非日常的SFアイデアを書いたら、異化されたものがさらに異化されて、何がなんだかわからなくなるのは当たり前だ、と思ったのを覚えている。

☆イアン・ワトスン「エンベディング」山形浩生訳・国書刊行会
ルーセルの「新アフリカの印象」を幼児期から聞かせ続けて、その奇怪な言語方式を習得できれば、今見えているのとは違う現実が見えるのではないか、という炸裂的アイデアで書かれたイギリスSFの雄、イアン・ワトスンの公式デビュー作。これについては後日ブログで記事を書くつもりなので、ここでは割愛。着想のネタになっている程度で、具体的に突っ込んだ言及は特にない。


●違った視点から
岡谷公二アンリ・ルソー 楽園の謎」中公文庫

岡谷公二シリーズその2。ルーセル紹介者岡谷氏がその「精神の双生児」と捉えるフランスの画家アンリ・ルソーについての評伝。読み物として非常に面白い。私は美術に詳しくないので、岡谷氏がルソーの絵を絶賛するくだりは熱くなり過ぎじゃないか、とは思うけれど、ルソーの絵が興味深い代物であることは確か。
アルフレッド・ジャリアポリネールピカソガートルード・スタインなど、意外な名前が出てきて、その点でも興味を惹かれる。

岡谷公二「郵便配達夫シュヴァルの理想宮河出文庫

郵便配達夫シュヴァルの理想宮 (河出文庫)

郵便配達夫シュヴァルの理想宮 (河出文庫)

岡谷公二シリーズその3。ルーセル紹介者岡谷氏がその「精神の双生児」と捉えるフェルディナン・シュヴァルと、彼が建てた驚愕の建築「理想宮」について書かれた本。この本では図版も小さくモノクロなので、以下のサイトでどういう建物なのかを見て欲しい。

シュヴァルの理想宮
岡谷氏の本などを元に簡潔にまとめたサイト。

理想宮の詳細
理想宮の詳細な写真が数多く見られる貴重なページ。

連載コラム Yuko Nexus6のメディア呑氣堂】最終回 本日の出物――アウトサイダー建築・西洋編
コンピューター関連のサイト、アスキー24になぜか載っていた、シュヴァルについてのコラム。アウトサイダーアートと絡めて書いてあります。

シュヴァルの理想宮へ行こう!
少しのカラー写真と行き方。

服部正アウトサイダー・アート光文社新書

アウトサイダー・アート (光文社新書)

アウトサイダー・アート (光文社新書)

シュヴァルについても書かれている、安価なアウトサイダー・アート紹介本。以前に記事を書いた。
結構いい本だと思うのだけれど、トラックバックをいただいたはやしさんは、もっと図版の多い本を薦めている。
アウトサイダー・アート

アウトサイダー・アート

これとか。品切れ!


●参考

アンカーポイント
ここでは、「ロクス・ソルス」についての記事と、参考文献を一覧した記事がある。
『アールヴィヴァン28号 特集レーモン・ルーセル』 と『独身者の機械―未来のイヴ、さえも……』 は是非欲しいなあ。
ルーセルの原書書影

New Impressions Of Africa

New Impressions Of Africa

英訳された「新アフリカの印象」

ダリ画 「アフリカの印象」
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